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2018年7月25日 (水)

病み上がりのパリ(7)帰国前日・音楽の日

6月21日(木)

   オペラと旅行という2日続きのハードなスケジュールでかなり疲れました。今日を予備日にしていたのは正解で、10時過ぎまでぐっすり寝て休養もとれました。クリニュー辺りまでぶらぶら歩いて、エコール通りのソルボンヌ書店という本屋で店頭の台から妻がジェリコーの画集(7ユーロ)を抜き取って来ました。この本屋は場所柄観光客も多いが、店内は芸術・哲学・宗教などかなり充実しています。店頭台以外は値付けはやや高いか。

   エコール通りをさらに歩いて、再びモベールの市場で骨つきもも肉とクロワッサンを2つずつ買いました。市場の端にモロッコ雑貨のお店があって、妻がバブーシュというモロッコ皮のスリッパ(18ユーロ)を買いたいと言いました。職場で使いたいというのです。モロッコ人の女性はテントの下から色違いのバブーシュをたくさん出してくれました。試着して気に入ったのでピンクのバブーシュを一足買いました。妻によると日本では倍以上するそうです。

   それからマークス・アンド・スペンサーで大きなバケツに入ったサラダを買って、もも肉やクロワッサンと一緒にリュクサンブール公園のベンチで食べました。途中、一瞬頭がボーとして、ヒヤッとしましたがすぐに治りました。この公園は広くてほんとうに気持ちがよいです。裏通りを通ってホテルに帰る途中、モーリス・ナドー書店という小さな本屋がありました。モーリス・ナドーといえば、かつてモンマルトルの南の本屋巡りしたとき、金曜日書店という本屋の扉にモーリス・ナドー生誕100年というポスターが張ってありました(ナドーは2013年に102歳で死んでいます)むろん、『シュールレアリスムの歴史』のナドーです。そのナドーとどんな関係があるのでしょうか。

   妻がその店のウインドウの中に22ユーロのベンヤミンの本を見つけて、どうしても買いたいと言っています。しかし、22ユーロは高い。しかも扉は閉まっているようなので、入らずに通り過ぎようとしました。すると妻が、中に occasion(割引本)があるよ、と言ったので扉を見ると、確かにそう書いてあります。それで、扉を開けて入って見ると、割引本を入れた箱が二つありました。それを探していると、二つ目の箱の中に、ウインドウにあった同じベンヤミンの本が10ユーロでありました。ちょうどその時、店の主人らしき老人が二階から降りてきました。ベンヤミンの本と10ユーロを渡すと、裏表紙を指差して、ここが少し汚れているから、、、と言っています。そして中国から来たのか、と聞くので、日本人だ、というと、訊ねもしないのに壁に貼ってある写真の作家名(ジッド、ヘンリー・ミラー、ジョイスなど)を教えてくれました。この老人の写真を撮り忘れたのは本当に残念です。(あとで調べたら老人はナドーの息子ジル・ナドーさんらしいです)

   ムフタール通りで土産物を買ったあと近くを散策した後で四時過ぎにホテルに戻りました。風呂に入って、のんびりコーヒーを飲みながらテレビでワールドカップのフランスーペルー戦を観戦しました。途中でワインを飲み始めたら寝てしまい、気づくと試合は終わっていました。今日は音楽の日ということで、七時過ぎから外に出て行きました。ところが、外に出ると風が強く、一気に体が冷えてきました。よりによってノースリーブのワンピースを着てきた妻は部屋に戻ってスカーフを取って来ました。これまでと同じように、スフロ通り、リュクサンブール、サン・ジェルマン・デ・プレなどで、バンドが賑やかな音を出しています。

   しかし、寒い寒い、この寒さにもかかわらず、それぞれのバンドの周りには人々が群がっています。踊りだす者、ビールを競って飲む者、どんちゃん騒ぎを始める者、いつもこんな感じです。サン・ジェルマン・デ・プレに行ったついでに、夜12時まで店を開けている レキューム・デ・パージュ書店に寄りました。ここでfolioの2ユーロ文庫を2冊買って、ホテルに帰りました。明日はいよいよ帰国の日、なにかあっという間の感じです。

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ソルボンヌ書店。クリニューの近く。この辺りは観光客目当ての店も多いが、この店の店頭本は良心的。

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リュクサンブール公園。広くて、静かで、一種華やいだ公園というのは他ではあまり考えられません。シモーヌ・ヴェイユが高校生の時、この公園で露出狂の男にあったというエピソードは有名です。

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パンテオンに続くスフロ通り。パンテオンの前にソルボンヌ法学部があるので、この辺は法律の専門書店が軒を連ねます。

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ムフタール通り。ヴァイオリンを弾くおじさん。この通りも今や観光客の絶えない通りとなりました。元々はラブレー以来の古い通りです。

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コントルスカルプ広場。ムフタール通りはここから始まります。すぐそばにヘミングウェイの住んでいたアパルトマンもあり、左岸でもっともcosy な場所になっています。今日は音楽の日なので、昼頃からバンドが演奏を始めています。

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モーリス・ナドー書店。出版もしています。シュールレアリスムに特化した書店のようです。主人と言葉を交わしましたが、お互いに何を言っているのかわかりませんでした。

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夜7時過ぎですが、スフロ通りではもう演奏が始まっています。

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スフロ通りとサン・ミッシェル通りの交差点。歌っている人の横を通行人が容赦無く通り抜けて行きます。

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オデオンからサン・ジェルマンに抜ける道。店内での演奏がスピーカーから大音量で流れています。

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サン・ジェルマンおお通り。中年のバンドの人気は今ひとつ。見る人の目も冷ややかです。

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サン・ジェルマン・デ・プレ教会前の広場。たまらず踊り始めている人もいます。

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オデオンで。デキシーランド・ジャズの元気な演奏。服も揃えています。

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妻がモベールの市場で買ったモロッコのバブーシュ(18ユーロ)職場でスリッパとして使っているそうです。

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今日買った本。左上ジェリコーの画集(7ユーロ)。これはお買い得でした。その隣はベンヤミンの『一方通行路・ベルリンの幼年時代』(10ユーロ)。出版元はもちろんモーリス・ナドー書店です。下はレキューム・デ・パージ書店で買ったfolioの2ユーロ本。『パリはいつも祝祭日』(モンテーニュからぺレックまでパリ賛美の文章を集めたもの。そしてチャンドラーの『Deniche la fille』(「トライ・ガール」抜粋らしい)。チャンドラーの仏訳を読むのは初めて。ミステリーは最初の10ページが試練で、それを乗り切れば割と楽に読めます。

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スポーツ専門紙L'Equipe.。1−0で勝利したペルー戦の記事。「夏の味わい」と題してフランス代表の快進撃を伝えています。むろん左はグリーズマン、右はムバッペです。昔、パリ・サンジェルマンを応援するため、お金を払ってフランス・リーグの試合を観ていましたが、仕事が忙しくてやめてしまいました。近年のフランスの好調は異端分子を外して、和を最優先にしたのが効いています。代表監督のことをフランス語でselectionneur(選ぶ人)という時がありますが、まさにその通り、チームとは目標に向かって狂ったように一丸となるとき実力以上の力を発揮するのです。

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