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2016年7月10日 (日)

オデオン広場ふたたび(2)ブラッサンス公園その他

6月18日(土)
   ぐっすり寝て、目が醒めると、もう昨日の疲れは吹き飛んでいます。コーヒーを飲みたいが、妻が旅行用の茶碗、フォーク、皿、割り箸などすべて家に忘れたので、仕方なく何も口に入れずに出発しました。ホテルを出て右側を歩いて行くと、程なくオデオンの交差点です。その信号でサン・ジェルマン大通りを渡って、ancient comedies通りに入ると左側にパン屋のカイザーがあります。中に小さなカウンターがあるので、そこに座ってクロワッサンとコーヒーのセットを頼みました(確か2.4ユーロ)。ひと息ついてから、近くのカルフール・マーケットで、インスタント・コーヒー、使い捨てのスプーンなどを買ってサン・ジェルマン大通りに戻り、レンヌ通り左側のインターネット・ショップで私用のSIMカードを買いました。30ユーロでしたが、iPhoneに入れて設定するのに少し時間がかかりました。しかし、これでパリのどこからでも家に連絡できます。

   同じレンヌ通りの並びの安い食器屋 Vaisserrieに10時開店と同時に入ってフランス製のガラスのコーヒー茶碗を2つ買いました(1つ1ユーロ)。それから、ブラッサンス公園の古本市に行くつもりで89番のバスの停留所を探しましたがどこにも見当たりません。どうも停留所の場所が変わってルートがずれているようです。仕方なく サン・シュルピス駅からメトロに乗って15区のコンヴェンション駅へ。メトロで行くと駅からブラッサンス公園まで少し歩かねばなりません。しかし、convention 駅を出て驚いたのは非常に活気ある界隈であるということです。パリ15区の一番下、つまりパリの外れなのに人々の行き交う商店街は賑わいに満ちています。子供を連れた人々も多く、店々の客の入りも多い。黒人の姿をほとんど目にしないのは、ここが堅実な白人中産階級が多く住む地域だからでしょう。

   コンヴェンション通りを歩いていると、左側にLe Divan 書店がありました。通りの向こう側には児童・若者向けの Le Divan jeunesse があります。この本屋は15区最大の書店で、パリでも有数の活発な書店活動に取り組んでいる店です。店内に入ってみると、土曜の昼だからでしょうか、けっこう客が入っています。話題の新刊書から、売れ筋の文芸書・ミステリー、奥には哲学、歴史、宗教、心理などの専門書も棚ごとに整然と並んでいます。中心部の大型店に行かなくとも十分手応えのある品揃えです。

   Le Divan 書店を出ると、急に妻が「お腹がすいた」と言い出しました。私は本屋に行ったり町歩きをする時は一日中何も食べなくても平気なのですが、妻は空腹になるとガス欠の車のように全く動くことが出来なくなってしまうのです。ブラッサンス公園に行く途中でどこか良い店はないかと探したのですが、妻がここでいいよと交差点際のカフェを指差したので、Cafe de Marcheという店に入りました。昼時でお客でいっぱいでした。私が鶏のサラダ(6ユーロ)とビール、妻が卵のサラダ(6.4ユーロ)とロゼのワインを頼みました。サラダを頼むとパンが籠一杯出されます。飛び込みにしてはまずまずの味で、特にキュウリ(concombre)は日本の昔の胡瓜を思い起こさせるおいしさ、また冷えたビールも美味でした。

   ブラッサンス公園を西の入口から入ってみると、何やら軍用テントがたくさん張られてあります。中を覗くと兵器や軍用食や制服などが置いてあって、気づくと軍服姿の男たちが歩いているではありませんか。カメラを取り出して撮っていると、白い軍服を着た髭のある老人が「ジャポネ?」と訊いてきました。そうだと答えると、こっちに来いと手招きして、ぐんぐん奥に歩いていきます。広場のような所に出ると、何と走行車両や軍用トラックやサイドカーがたくさん駐車していて、軍人のコスプレで溢れています。そこで中里さんという日本人に紹介されました。中里さんによれば、これはユニホーム・マガジンという雑誌が主催したマニアの集まりで、これからパリ中のパレードに出るところだそうです。私はパリ解放の時のルートや戦闘に興味があったので、いろいろ興味深く見ていました。それにしても参加者は皆張り切って生き生きしています。

    いよいよ公園の東端にある屋根つきの古本市会場へ。土日のみ開催しているそうですが、たいへん広くて、しかしお客はまばらです。サーと見ていきましたが、なかなかペーパーバックまで調べる余裕がありません。2回ほど往復して、ジャン・ヴォートランの警察小説(2ユーロ)に目をつけたが、どこの売場か忘れて買いそびれました。どっと疲労が出たので、スイスの出版社mermod から出たパリ本の一つ Paris (5ユーロ)だけ買いました。これは20人ほどの作家と画家がパリについて書いたり、描いたりしたものです。例えばフローベールからは『感情教育』の一節が引用されています。1952年の出版ですがページも切ってなくたいへん新しい感じです。

   妻は勝手に本を探していましたが、私を呼んで、この本が欲しいけどどうかなと聞いてきました。見ると、プレイヤッド文庫の Album Borges で、妻が店の主人に聞くと35ユーロだということです。それで、少し離れたところで Book Finder で調べてみると、だいたい50ユーロから80ユーロの相場です。これは買うべきだと思って、妻が件の店主を探すと、向こうでワインを飲んでいました。手を振ると白髪の老店主がやって来て、「これを買う」と妻が言うと「さっき、幾らと言ったっけ」と、もう忘れている様子です。妻が「35ユーロ」と答えると、「30ユーロでいいよ」と負けてくれました。

   帰りは公園のすぐ近くから89番のバスに乗りました。途中から土砂降りの雨になりましたが、リュクサンブールに着く頃にはすっかり止んでいました。ホテルに戻って、今日買ったコーヒーカップでコーヒーを飲んでから、ホテルの前で販促していて一部貰ったリベラシオンをじっくり読み始めると妻はもうベッドで昼寝していました。夕方になって、サン・ジェルマン・デ・プレヘ。まだ店を開けていた Buci 通りの Carton で明日の朝のクロワッサンとパン・オ・ショコラを買いました。Carton の並びにTaschen 書店があったので入ってみました。Taschen はドイツ発祥の美術書専門書店で、一歩足を踏み入れるとその世界に圧倒されます。暗い店内、怪しげな明かりに照らされた写真集・美術書・建築書・男性ヌード本、すべて自由にページを渉猟できるよう開かれて置かれています。高価なものもあるが、だいたい15ユーロ前後で安いのが特長です。

    次にサン・ジェルマン・デ・プレ教会近くの l'Ecume de pages 書店ヘ。文芸書が非常に充実していて、今やこの地区の一般書店として孤高を守っています。平台が多くて本が見やすいので、私はこの書店に来ると何時までいても飽きません。やっと疲れが出て帰ろうとすると、妻がこの本を買うと言ってガレンのルネサンス本を持ってきました。妻は最近このイタリアの歴史家にすっかりはまっているようです。帰り道、カルフール・マーケットでワイン、サラダ、桃、ビール、水を買って帰りました。

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カイザーの店内。奥にパン類が売っています。右手前がイートインのカウンター。

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レンヌ通りの以前は一般書店のあった場所が自動車専門書店になっています。

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シムカやゴルディーニなど懐かしい車名が並びます。

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15区コンヴェンション駅近くのル・ディヴァン書店。客も多く活気ある書店です。

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Le Divan書店の店内。専門書も充実しています。書店員の懇切な説明も地域の書店ならでは。

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コンヴェンション通りのカフェ・ド・マルシェでの昼食。手前の鶏肉のサラダは6ユーロ。キュウリが美味しいのでびっくりしました。

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Uniformes en Franceの催し。いろいろ教えていただいた中里さんの着ている制服はモロッコのフランス部隊のもの。細部までマニアック。

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第二次大戦時のフランスのミニ戦車。これからパレードに出発するところ。日本と違って湿気が少ないのでエンジンが錆びにくいそうです。

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各自の制服、車両は皆それぞれの個人所有のもの。その徹底ぶりは恐ろしい。

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参加者は皆楽しそうです。

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やっと古本市会場へ。二棟に分かれた会場はたいへん広い。

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妻が買ったプレイヤッド文庫アルバム・ボルヘス。プレイヤッド文庫50周年を記念して、毎年一冊、プレイヤッド文庫三冊を買うと貰えるアルバムのシリーズはどれも高値が付いています。右は私が買ったパリ本。20人以上の画家の絵と作家・詩人の文章の集積です。

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ビュシ通りのパン屋カルトン。私はこの店のクロワッサンは濃厚な味でとても美味しいと思います。

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カルトンの並びのTaschen書店。素晴らしい美術書専門書店です。

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Taschen書店の店内。見やすく、何とも言えない雰囲気のある書店。

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土曜日のビュシ通りのカフェ。どの店もいっぱいです。

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サン・ジェルマン・デ・プレの書店l'Ecume des pages。この店に入ってしまうと一時間以上は居ついてしまいます。

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l'Ecume des pagesで妻が買ったガレンの『ヘルメス主義とルネサンス』。妻はガレンの本を集めているっぽいです

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