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2014年7月12日 (土)

オデオン広場へ(1)到着•医学校通りのホテル

6月20日(金)
    夜10時15分発のエールフランスに乗るため、7時半には羽田に着きました。空港のレストランは高いので、おにぎりを作って持って行って、野立傘と赤い毛氈を敷いた床几に座って食べました。5個作ったのですが、二つずつ食べて、妻はもう食べられないというので、最後の一つは私が一口かじって泣く泣く捨てました。実はダイエット中なので食事制限しているのです。

    今年の2月、朝4時半頃に目が覚めて、ネットでいろいろニュースを見ていたら、突然激しいめまいがして、心臓がドキドキしました。めまいはよくあるものの、これほどのものは初めてなので、急いで血圧を測ってみると、見るも恐ろしい数値です。去年、伊豆の温泉でくも膜下出血で急死した知人のことが頭をよぎりました。これでは、6月にセーヌ川を散策する代わりに三途の川で石を拾っていることにもなりかねません。いや、確実にそうなっているでしょう。しかし、高血圧の薬は副作用が怖いので(他にも持病がたくさんあるので)、決心して、体重を減らす•酒を控える•塩分を減らす、を徹底して実行することにしました。これは言うに易く行うに難いことですが、新調した麻のジャケットを着てエールフランスのシートに座るか、白い経帷子を着て棺桶に入るかの差はあまりに大きい。ただちに、夜食を抜いて昼食は半分の量、朝は塩分の多いパンをやめて白米にしました。酒は週末の夜のみ、しかもワイン2杯と制限しました。そして毎日、体重と血圧を測ってノートに記録することにしました。

   これまでにもダイエットを試みたことはあったものの、いずれも成功しなかったのは切羽詰まった気持ちがなかったからです。しかし、今、自分が死のほとりに立っていることを自覚すると、もはや足踏みすることは許されません。それから4ヶ月間、無慈悲なダイエットを貫徹して体重を七キロ落とすことに成功しました。血圧は劇的な降下ではないが、危険水域を完全に脱して、これで倒れることはないと確信しました。体重が七キロ減ると体は随分軽くなったように感じ、妻と銀座に出かけてもすぐに疲れてしまうこともなくなりました。それよりも、特筆すべき変化が見られたのです。これまで自分は職場や知人•友人関係で要らぬ神経を使ってきた、極度の人見知り、対人恐怖症で、挨拶すら緊張し、日常の何気ない会話をできるだけ避けてきた、それがもうどうでもいいと思えるようになったのです。実際、自分の死を目前にして(それは世界の終わりと同等です)、なお考慮すべき事柄なぞある筈もありません。すべては副次的なこと、人生の最上の事と比べれば、まさにいい加減にやり過ごすべきことなのです。一方、細かな日常の手仕事は、逆に愛おしい意味を持ってきました。日々の食事、仕事で書く報告書、皿を洗ったり猫と遊んだりすることなど、一つ一つを最後の日の愛惜をもって行うこと、、、、。

   飛行機は定刻に羽田を離陸。痛風のためアルコールを取れなかった昨年とは違って、ウェルカムドリンクのシャンパンを飲んで、機内で貰ったliberation を読み始めました。今はたいへん便利な時代で、ネットでフランスのほぼあらゆる新聞を無料で(一部記事は有料)読むことができます。Le Monde, Le Figaroをはじめ、雑誌のNouvelle l'Observateur, Le Point, l'Express, Paris Match はもちろん、地方紙もよりどりみどりです。私はLe Parisien(パリの地方紙)はむろん、ブルターニュ地方の Ouest France, 南部のMIDI Libreにも目を通します。全国紙が黙殺する些細な交通事故や地方の裁判のニュースなどがなかなか勉強になるからです。しかし、私が毎日必ずすべての見出しとリードを読んでいるのは Liberation をおいてほかにありません。Le Monde は本格的で堅苦しいし、Le Figaro は保守的で退屈です。今、フランスでは insolit(習慣を逸脱した、異様な)という言葉が斬新さという意味を含めて褒め言葉となっていますが、Liberation はまさに insolit な記事を毎号載せています。また、掲載される写真もたいへん良い。日本の朝日や毎日などのネット版のニュースと大きく違うところはフランスの新聞のサイトの写真の美しさです。とくにliberation や Paris Match や20minutes などの写真は秀逸です。

   予定より30分早く、3時30分にシャルル•ドゴール空港に到着、5時50分発のエールフランスのリムジンバスの始発まで一時間ちょっとあります。バスの券売機の前のベンチで自動販売機で買ったコーヒー(⒈4ユーロ)を飲みながら待っていました。ちらほら日本人の姿が見えますが、時間通りに来たバスに乗ったのは全部で3人だけでした。まるで貸し切り状態で出発、朝早くの道路は空いていて、何と予定の半分ほど30分でポルト•マイヨーに着きました。ところが、ポルト•マイヨーで、いつもの82番のバスが30分待ちという電光掲示があってがっかり。屋根付き停留所のベンチには大きなバッグを枕がわりにした旅行者が眠っていて座れません。やっと来た82番に乗って終点のリュクサンブールを目指します。

    CDG(シャルル•ドゴール空港)からパリ市内へは主に四つのルートがあります。RER(パリ高速鉄道)B線に乗って北駅、サン•ミッシェル、リュクサンブールを目指す行き方、しかし、これは犯罪に会うリスクが高い。次にロワッシーバスを使ってオペラまで一直線、安いが混むのでだいたい座れません。3番目はタクシー、これは一番簡単だが運転手の当たり外れがあり、値段も一定しないし、途中でのバイク強盗の危険もあります。よって、私たちはエールフランスのリムジンバス、それも渋滞の多いリヨン駅•モンパルナス駅行きを避けて、エトワール広場行きに決めているのですが、凱旋門付近の混雑を避けて、終点一つ手前のポルト•マイヨーで降りるのが定番になっています。そこで、メトロの改札口でチケットを買って82番のバスに乗るのですが、このバスは私の大好きなアンヴァリッド(廃兵院)の前を通るのです。

   終点のリュクサンブールで82番を降り、キャリーケースを引っ張ってサン•ミッシェル通りをセーヌ川の方向に下り、リセ•サン•ルイ校の前を過ぎて、l'Ecole de Medecine 通りに入ります。その通りのすぐ右側にあるのが私たちが一週間宿泊するホテル•サン•ピエールで、場所はカルチェラタンとサン•ジェルマン•デ•プレの境、オデオンのすぐ隣という絶好の位置です。

   実は、今までのパリ旅行では、ホテルの選定はすべて妻が行っていました。私は最終候補のホテルから選ぶだけで、すでにその時点で高いホテルばかりだったのです。しかし、このユーロ高、今回は意を決して最初から私もホテル選びに参画しました。まず安全の面から左岸は絶対です。それと遠くともルーヴル宮から歩いて帰れる距離、そしてできるだけ安い所、以上の条件からサン•ジェルマン•デ•プレのオテル•デュ•リス、カルチェラタンのオテル•サン•ピエール、アラブ研究センター近くのオテル•ロワイヤル•カーディナル、それにダンフェール•ロシュロー近くのダゲール通りのオテル•ダゲール•モンパルナスの四つに絞りました。この四つともそれまでのホテルの半額かそれ以下の宿泊料です。その中でロワイヤル•カーディナルとダゲール•モンパルナスはやや遠いので候補からはずし、オテル•デュ•リスとサン•ピエールに予約を入れて置いて、最終的にサン•ピエールに決定しました。ホテルの佇まいや風格はオテル•デュ•リスの方がよいものの、エレベーターの無いのが何とも辛いのです。

   最近は短期のアパルトマンも人気ですが、値段は決して安くないのと、必ず仲介業者を通さねばならず、また手続き、引き渡しなどトラブルがありそうで敬遠してしまいます。しかし、アパルトマンのよい所は、何と言っても契約期間の間は人が入ってこない所でしょう。また市場で買った食材を調理できるのも安上がりで、長い滞在ならずっと経済的です。しかし、ホテルとカフェというのが古い人間である私のパリ滞在の基本なので、日用の細々とした物を揃えたり、室を掃除したりするのはいささか面倒に思います。なお、私たちはツアーであれ、バス旅行であれ、旅行会社が仲介するものは利用しないのですが、それはせめて旅ぐらいは団体行動の煩わしさや人からの指示なく自由に振る舞いたいと思うからです。思うに、旅の楽しみはまだ定かならぬ予定の中にあって、まさに「三里に灸する」所から真の旅は始まるのではないでしょうか。そして、常につきまとう不安と緊張感は旅そのものが持つ非日常的な魅力でしょう。また私たちは旅行会社が販売する格安航空券や飛行機とホテルのパック商品も避けています。いつも直接エールフランスから買うのですが、それならば天候や事故で乗れなくなった時(よくあることでしょう)にも優先して変更が可能だからです。

   さて、そのホテル•サン•ピエールは特徴のない目立たないホテルで、エレベーターは旧式も旧式、木製でとても狭い。自分で鉄の扉を開けて乗ります。2階(日本では3階)の部屋に入ると思ったよりも広いが、バスタブは無くシャワーのみ、空調はあるが冷蔵庫は無し、トイレは非常にきれいだがあまりに狭い、窓は壊れていて、きちんと締めるのにコツが要りました。 また、狭い通りにもかかわらず交通量が豊富で、バスも63番と86番が通ります。よって、静かとは言えないが、毎晩疲れていたので余り気にはなりませんでした。全体としては、日本人客を意識しているのか、清潔で、冷蔵庫が無いということを除けばまずまず満足できました。

   ホテルの前の細い通り Rue de l'Ecole de Medecine は名前のとおり片側全部をソルボンヌの医学部が占めています。窓を開けると、すぐ前に12世紀に遡る古色を帯びた建物がそびえています。ホテルの前が学生の通用門で、窓からは修道院のような中庭が覗けますが、夜になると中庭の廊下にランプのような灯りが点々と燈されて、アルベルトゥス•マグヌスやトマス•アクィナスが学問に打ち込んでいた遠い中世の時代を忍ばせます。

   チェックインは午後一時なので、それまでレセプションに荷物を預け、ぶらぶら医学校通りを散策しました。ホテルの右隣りが小さな映画館、その隣りがオーストリア風のパンやタルトのお店。そこでパン•オ•ショコラとパン•オ•レザンを買って歩きながら食べました。サン•ミッシェル通りに出て少し歩くと、飛行機の中で水を飲み過ぎたのか(痛風予防のため)お腹がグズグズしてきたので、すぐそこにあったスタバで1.7ユーロのエスプレッソを頼んで2階のトイレを使おうとしましたが、なんと広いトイレは汚物で溢れていて便器に近づくことすらできません。仕方なくリュクサンブール公園で⒈5ユーロ払ってトイレに入り、やっと気分がスッキリしました。

   お腹が空いてきたので、ヴォジラール通りを真っ直ぐ歩いてラスパイユの市場へ行って、食べ物を買い、リュクサンブールに戻って食べようと決めました。市場で、チキンの焼いたもも肉を買って、途中のヴォジラール通りとマダム通りの交差点にあったboulangerie Madameというパン屋でバゲット•トラディショナルを半分買って、並びにあったモノプリでサラダと水を買って、リュクサンブール公園で食べました。鳥にパンをやりながら食べるのがたいへん楽しい。バゲット•トラディショナルはあまりの美味しさにびっくりしました。これこそ、パリです。

   リュクサンブール公園から再びサン•ミッシェル通りに出ると、ようやくパリの真ん中にいるのだという実感が湧いてきました。ソルボンヌ広場には学生と観光客が初夏の明るい陽射しを浴びています。そこにある哲学専門書店 J•Vrin に入りました。ちょうど一年ぶりです。妻は去年買い忘れたソルボンヌ教会を描いたJ•Vrin の袋を買いました。私はショーレムが編集し、序文を書いている『ゾーハル•輝きの書』(6.1ユーロ)を買いました。書店の一角には、没後30年を記念してミシェル•フーコーのコーナーが設けられていました。

   チェックインまでまだ少し時間があったので、ホテルのすぐ近くのエコール通りを散策することにしました。広い通りで、突き当たりにパリ第六大学の高いビルが見えます。このエコール通りは面白い通りで、本屋、古本屋はもちろん、ディスク、DVD、ゲーム、フィギュア、おもちゃ、モデルガンなどの専門店が並んでいます。まず左手に私の好きなコンパニ書店、右手に有名なブラッスリー、バルザールがあります。少し歩くと、エコール通り周辺に勢力を持つl'Harmattan書店の各店舗が並びます。エコール通りの終点近くには Librairie Dedale があります。「ダイダロス書店」あるいは「迷路書店」という名のこの本屋はカルチェラタンでそれなりに知られた本屋ですが、店に入ってみて驚きました。店員は一人しかいず、お客は0人。しかも棚に空きが目立ちます。児童書もきちんと揃えてあるが、下町の書店のように子供が遊びながら本を探せる雰囲気ではなく、といって、アート系に特化してもいず、強いて言えば文学、演劇、映画、思想あたりの本が並びます。なんとなく中途半端で、ジベール•ジュンヌやジベール•ジョセフなどの大型店に対抗するにはやや苦しい感じです。モンパルナス大通りのかつての人気書店 L'Escale Litteraire のように突然閉店するかも知れず、その前に訪ねてよかったと思いました。妻はここでボルヘスの Le Sud を買いましたが、店をほっぽり出して外で煙草を吸っていた女店員は、並木の枝に喫いさしの煙草を挟んで、慌てて店にもどってきました。

   そろそろホテルに戻ろうとして、ホテルすぐ近くのモノプリに寄って、水やワインや桃やハムを買いました。チェックインして、部屋に落ち着き、食べ物をひろげ 、ワインを飲んでいるうちに疲れがどっと出て、二人揃って昼寝してしまいました。やはり、飛行機では満足に眠れていなかったのでしょう。4時にガバッと起きて、慌てて支度しました。というのもオペラ•バスチーユの『椿姫』のキャンセル待ちの行列に並ばねばいけないからです。

   今回の旅行の最初の失敗は、旅行前に妻が『椿姫』のチケットを取れなかったことです。しかし、(セガ•サターンでパソコン通信をやっていたほどのネットの申し子である)妻でさえ取れなかった、と言った方がよいでしょう。『椿姫』は人気ナンバー1のオペラで、世界中からいっせいにアクセスされ、五分に満たずに完売したのですから。しかも、今日が最終日で、私たちには今日しかチャンスがなかったのですが、千秋楽に人気が殺到するのは目に見えています。また、私が座席についていろいろ注文をつけていたのが妻の障害になったのかも知れません。今から考えるとガルニエの方に、朝、当日券を買いに行けばよかったかと思いますが、私はもう半ばあきらめていたのです。

   オデオンから86 番のバスで5時過ぎにバスチーユ到着。案の定、キャンセル待ちは結構な行列です。そこにいた女の人が教えてくれたところによると、七時から売り始めるとのことで、買えるかどうかはその時になってみないとわからないとのこと。ただし、現在150ユーロの券ならたぶん買えるそうですが、それだと二人で4万円を超えます。迷ったが、そこまでの予算はなかったので、それはあきらめ、また7時まで並んでいるのも馬鹿らしいのでバスチーユを散策することにしました。ところで、この150ユーロの券のことではいまだに夫婦で口論が起こります。買えばよかったと主張する妻によれば、自分はクリエイティヴなものを評価する人間なのでオペラには金は惜しまないが、あなたは花より団子だから、というのです。それを聞いて私は黙っていましたが、というのも妻の言うことは全くその通りで、私には多分、下町の人間の実利主義が染み込んでいるのでしょう。悲しく思いながらも、私は、妻が発したクリエイティヴという言葉にそれとは悟られずに笑ってしまいました。というのも、クリエイトやクリエイティブという不遜な言葉を使う人間に対してバルテュスが言っていたことをふっと思い出したからです。「あなたは神様のことを言っているのですか?」と。

   バスチーユ広場から伸びるフォーブール•サン•タントワーヌ通りは、パリでもっとも活き活きした賑やかな通りでしょう。観光客も無論いるのですが、それよりパリの日常の忙しく生きる人々の熱気が街路の隅々から聞こえてくるのです。通りに入ってすぐ右側に l'Arbre a Lettres という書店があります。パリに三店舗(残りはムフタール通りとエドガー•キネ通り)にある書店のここは旗艦店ですが、思想書から児童書まで街の書店としては質•量ともに充実したバランスのよい品揃え、非常に感じの良い書店です。

   さらに歩くと四角い公園 square trousseau があり、その前のアントワーヌ•ヴォロン通りに Ble Sucre があります。評判の良いパン屋で何でもすべて美味しいそうです。そこでケーキを買って公園で食べようとしたのですが、この Square trousseauは遊具の多い公園で子供たちで溢れており、とてもゆっくりケーキを食べる雰囲気ではありません。フォーブール•サン•タントワーヌに戻ると、所々、小道があって、昔の家具職人の工房が観光客向けの洒落た家具店に模様替えしているのを発見できます。今はもう昔日の香りもしないが、バスチーユが下町の職人の町であり、革命の端緒となった反貴族主義の町であることはなんとなくわかります。そのフォーブール•サン•タントワーヌ通りの189番地まで歩くと librairie Page189 がありました。l'Arbre a Lettres を小ぶりにしたような本屋で、奥に子供が遊びながら本を選べるスペースもあり、自己主張の少ない楽しい書店風景は好感が持てます。

   Page189の前に有名なカフェ•ラ•リヴェルテがあります。まだ7時前のavant soirée の明るい時間なのに店は中も外も人がいっぱいです。私はここでビールを飲みたくて仕方がなかったのですが、妻がひどく疲れていて、アルコールを飲んだらホテルに帰れないというので、残念ながら諦めました。また、オペラ•バスチーユに戻ろうとして、ついでにもう一軒と、アリーグル市場近くの librairie la Terrasse de Gutenberg に寄ってみました。ここは下町の小さな、しかし30年の歴史ある書店ですが、数年前に閉鎖の危機に襲われ作家やファンの援助で生き延びたそうです。定期的に作家を呼んで、朗読会や討論会を催しており、作家が近所の人たちと膝突き合わせて交わる典型的なパリの町の書店です。品揃えは子供向けが充実し、また思想書、一般書はかなり趣味のよいものが並んでいます。店内及びウィンドウのディスプレイもなかなか凝っています。じっくり見たい本屋だったが、妻が不機嫌極まりなかったので、近くのLe Pain au Naturel で田舎パンを買うとただちにオペラ座のチケット売場に行きました。キャンセルのチケットの販売は始まったものの遅々たる歩みで、行列はなかなか進まず、七時半開始のオペラに間に合わないことは確実でしょう。やっと妻もあきらめて、バスに乗ってサン•ジェルマン•デ•プレまで帰って来ました。そこのカルフールでハム、サラダ、トマト、みかん、ワイン、ビールを買ってホテルに戻り、食べるとすぐに妻はダウン、私は夜10時に始まったサッカーワールドカップのフランス•スイス戦を見ましたが前半3-0で勝っているところで瞼が開かなくなり、ついに眠ってしまいました。ホテルの隣りの学生向けのバーからは点が入るたびにすごい歓声が上まで上がってきます。

Sp

ホテル・サン・ピエールのエレベーター。自分で扉を開けて入ります。箱は木製で、大人二人がやっと入れる狭さです。

Nagame

ホテルの部屋の窓から見下ろしたソルボンヌ医学部の通用門。12世紀の昔をしのばせます。

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同じく窓から見たソルボンヌの塔。

Ecole

ソルボンヌ広場の朝。正面がソルボンヌ教会。J. Vrin は左手前にあります。

Chartes

ソルボンヌ教会に隣接したパリ国立古文書学校(Ecole Nationale des Chartes)。グランゼコールの一つで、年間25人しか入れない難関校。ジョルジュ・バタイユはここを卒業して国立図書館の司書を務めました。ボードレールはここの入学試験に失敗しました。

Foucault

哲学専門書店J. Vrin の中のミシェル・フーコー没後30年記念のコーナー。

Harmattan

エコール通りに何軒もあるラルマタン書店の人文科学分野の店舗。第三世界、特にアフリカに支店を多く持つ世界規模の書店・出版社。何となくカトリックの匂いがします。

Dedale

エコール通りの端にあるデダル書店。演劇・映画に特色があるが、児童書にも力を入れた地域密着型書店。

Inside_librairie

デダル書店の店内。棚に空きが目立つのは撤退が近いからか。大型書店が出来てから、カルチェラタンの約半数の書店が閉鎖したそうです。

Sentochihiro

エコール通りにはDVDやゲーム・ホビーの店なども並んでいます。『千と千尋の神隠し』は私たちには懐かしい。昔、フランス語版の発売と同時に注文して、重箱入りトランプ付きの限定版を手に入れました。そういえば、フランスで6月25日から上映される『かぐや姫の物語』の各新聞評もたいへん好意的です。

Park

バスチーユ広場の近く。ここでは毎週木曜と日曜にパリで最大規模のマルシェが開かれます。

Books

フォーブール・サン・タントワーヌ通りを代表する書店 L'Arbre a Lettres 。何でもある書店だが、特に文学・エッセイに強い。児童書も充実して、思わず買いたくなる品揃えです。真ん中の下にあるのがダニエル・ぺナックの『片目のオオカミ』。

Roji

バスチーユ界隈に多くある小道。昔の家具職人の工房が観光客向けの店になっています。

Page189

フォーブール・サン・タントワーヌ通り189番地の Page189 書店。たいへん感じよい書店で、本屋の魅力は店内をぶらつくことにある、ということをよくわかっています。店の看板猫アルチュールが夕方の散歩から帰ってきたところ。

Catinlibrairie

アルチュールは店に入るとまっすぐに客の子供たちが遊ぶ児童書のコーナーに向かいます。

Laliberte

フォーブール・サン・タントワーヌ通り196番地、反日常の連中が集うカフェ・ラ・リベルテ。コーヒー 1 ユーロ、ビール(un demi) 2.3 ユーロ。

Librairieterrasse

アリーグル広場近くの本屋、La Terrasse de Gutenberg。魚屋や肉屋の多い、知的とはいえない地域ですが、近所の本好きのための文化的拠点になっています。左端に立っている妻は本屋めぐりが続いて機嫌が悪そうです。

Zweigroth

グーテンベルグ書店の品揃えはすばらしい。これはツヴァイクとロートの往復書簡集。

Camus

カミュの伝記とベンヤミンの『ボードレール』に挟まれているのは、生誕100年になるロマン・ギャリの未完だった自伝的小説。女優のジーン・セバークの夫で、66歳でピストル自殺したギャリはいまでもフランスで根強い人気を持っています。

Books_2

今日買った本。デダル書店で買ったボルヘスの Le Sud, L'Arbre a Lettres書店での児童小説『グランドホテルの猫カスパール』、J. Vrin で買った『ゾーハル・光輝の書』。右下はL'Arbre a Lettresでもらったプレイアード文庫のカタログ、表紙はエゴン•シーレ描くところのシャルル・ペギー。

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