« 2011年6月 | トップページ | 2011年12月 »

2011年7月11日 (月)

ジュリアン・グラック 『森のバルコニー』

    2007年12月22日、ジュリアン・グラックが97歳で没した時、フランス大統領ニコラ・サルコジは「20世紀フランスが生んだ最も偉大な作家のひとり」の死を悼みました。「世間の流行にも、文壇からも遠くはなれて、独自の力強い文学を生み出した」と。生涯高校教師として過ごしたグラックには、文学はもともと生計の足しではありませんでした。多くの読者も求めず、虚ろな名声を嫌って51年のゴンクール賞も辞退しました。このような彼の文学的矜持は『偏愛の文学』(白水社・中島昭和訳)というエッセイ集によく表れています。グラックは、全ての作家はポール・モーランの提案を実験してみたらどうかと言っています。つまり、ある日の朝8時に自分に忠実な読者たちをコンコルド広場に呼び集めてみるという試みを。というのも、作家のほんとうの名声とは、多くのきまぐれな読者を呼び集めるのではなく、真に熱烈な少数の読者を生み出すことにあるからです。読者は一冊の本に心を奪われる、彼は作者にたいしてきわめて強い絆、心服とでも言うか、何か奇蹟でも生じたような感情でその書物に結びつけられます。「ある共鳴が生じれば、それはまさに二本の電線が触れ合うようなものだ。読者を熱烈な信者に変えるのはこうした感情なのであり、またこの感情だけである」彼は自身の不思議な感情を、私心を持たずに周囲に伝えずにはいられない。絶えず周囲に話を広めてゆくこの種の読者が50人いれば、それはその数だけのウィルスの保菌者がいるのと同じで、広汎な読者を感染させるのに十分です。「人も知るように、マラルメの栄光とてこれ以外の伝わり方をしたものではなかった。つまり、彼のためなら死んでもよいほどの50人の読者を通じてよりほかの」
   
   ジュリアン・グラックというと、『アルゴールの城』や『シルトの岸辺』が思い浮かびますが、それら幻想的でこの世ならぬ道具立てに違和感を持ち、感心はしつつも気取り過ぎていて好きになれない読者も多いのではないでしょうか。しかし、彼の最高傑作は間違いなく『森のバルコニー』(白水社・中島昭和訳)で、最初の一語から読む者を引きずり込み、加速度的に物語に同化されていく感覚は、このレベルの難解さを持つ小説では稀有のことです。早速、小説の頁を開いてみましょう。時代は1939年10月、第二次大戦の開始を告げるドイツのポーランド侵攻から一ヶ月あまり、舞台はフランス・ベルギー国境近くのアルデンヌの森です。
   
  「汽車がシャルルヴィルの郊外を過ぎ、町の煤煙も見えなくなると、見習士官グランジュにはこの世の汚れがしだいに消え去ってゆくように思われた。気がつくと車窓の視界にはもはや一軒の家もない。」象徴的な出だし。汽車は、ムーズ川に沿って走り、アルデンヌの森に向けて、険しい線路を上へ上へと登って行きます。「まるで〈アルンハイムの領地〉へ行く列車のようだ」とグランジュは思います。エドガー・ポーの『アルンハイムの領地』は、一人の富豪が全財産を賭して完璧な風景を作り上げ、少数の人だけをそこに招待するというもので、そのままジュリアン・グラックの小説世界の比喩となっています。読者は一語一語を魂の奥底で噛みしめながら、文学的イニシエーションの中に滑り込んでいくのです。

    グランジュは、モリヤルメの駅で降り、そこの連隊本部で、自分の任務がアルデンヌの森の最奥のファリーズ高地のトーチカ守備隊にあることを知らされます。モリヤルメはフランス軍の前線基地で、宿営地には兵士があふれ、軍靴の鋲の音、鉄兜の擦れ合う音、そして陰気な街路には迷彩色の小型トラックやオートバイが並べられています。グランジュは、駐屯地の埃っぽい、むさ苦しい様子にただ嫌悪感しか感じませんでした。このモリヤルメの町は、現世の最後の宿泊地、そして別世界の入口となっています。
   
   翌朝早く軍用トラックの荷台に乗って、グランジュはファリーズ高地のトーチカに向かいます。トラックは山の稜線にそって登り、登るにつれて静かさは増し、小鳥の鳴き声さえ聞かれず、深く切れこんだ谷間の奥にかすかに水の音がします。「まるで妖精の森の静寂だ」とグランジュは思います。そして、この静かな午前、獣の巣や新鮮な茸の匂いのする、ぬれそぼった木々の茂みの間を、いつまでも走り続けていたいという思いにとらわれます。フーケの『水妖記』や鏡花の『高野聖』を思わせる異世界への導入ですが、さて、グランジュの生の最後の目的地であるトーチカとはどのようなものでしょうか。
 
   ファリーズ高地のトーチカは、ベルギー領アルデンヌからムーズ川へ続く森の道の途中にあり、ここを通って攻め入ろうとするドイツ軍を阻止するために造られました。コンクリートで固められたトーチカからは、対戦車砲と機銃用の二つの銃眼があけられています。そして、そのコンクリートの上には、宿舎の二階が張り出していて、それがこの小さな守備隊の住居になっています。トラックから降りたグランジュは、早速部下の兵卒から自分の部屋に案内されました。疲れた体を宿営用のベッドに休めると、ただちに深い眠りに入っていくのですが、その眠りが異世界への通路の最後の鍵を開けるのです。
   
   森の中で目覚める感覚を思い出してください。キャンプ地でのテントの中で目を覚ます感覚、林間学校の旅館の部屋で目が覚める感覚、小鳥の鳴き声、樹々を通ってくる風の匂い、まぶしい朝日、自分が今どこにいるか確かめながら徐々に目覚めていくときの不思議な心地よい感覚。グランジュにとって、それはかつてない幸福感を呼び覚ましました。田舎のおばさんの家で目を覚ましたような幸福感、農家の朝が動き出すあの穏やかなざわめき、アルミ食器 の触れ合う音が、コーヒーが用意されていることを楽しく告げています。「にわかには信じがたいほどの喜びに心を震わせながら、グランジュは自分はここで生活していくのだと思った。」
   
   それは確かに「森のバルコニー」でした。住居者はわずか四人。見習い少尉のグランジュと、その副官ともいうべき上等兵のオリヴォン、それに兵卒のエルヴーエとグルキュフです。オリヴォンは元造船所の班長で、同郷のエルヴィーエは鴨猟の猟師、グルキュフは文盲で酒好きの労働者でした。グランジュは、すぐにこの兵隊たちを好きになります。彼らは話し好きだが、分をわきまえていて、過度に自分自身について話したりしません。エルヴーエとグルキュフは、毎日、鉄条網に使う杭を切り出しに行きながら実は終日猟に明け暮れています。オリヴォンは定期的に下の駐屯地から運ばれて来る食糧や弾薬その他の整理、また食事の用意に余念がありません。一階のトーチカ部分には、たっぷりのワインや缶詰が詰まれ、さらに猟の獲物が夕食をにぎわせます。夜はタバコをふかしながら、コーヒーの缶がのせられたストーブのまわりで、ワインを飲みながら談笑するのです。そして、眠くなると各自の部屋に帰って寝るのですが、グランジュはコーヒーを飲み過ぎた夜など、眠れずに森を散歩することがよくありました。
 
   たとえ月のない夜でも森が闇で覆われることは決してありません。谷間から上がってくるオーロラめいた光にぼんやり明るむのです。そして、森の小道は、白い粉末のような小砂利が燐光のような光を放ちながら、雑木の間を幻の道のようにどこまでも続いているのです。自然の中に溶け込む感覚、夜行性動物のような爽快さ、夜明けまで歩き続けていたいという気持ちがグランジュに起こりました。しかし、闇は動物を引き寄せるように、戦争もまた引き寄せるのです。闇の中のドイツと闇の中のフランス、その二つの国の間のベルギーを。いつドイツはフランスに攻め込んで来るのか、どんな通路を通って彼らは侵入してくるのか。フランス・ドイツ国境に張られたマジノ線を破ってか、前大戦の時のようにベルギーを突破してアルデンヌの森深く押し入ってくるのか、それともスイスの端をかすめてフランシュ=コンテからフランスを分断してくるのか。あるいは戦争など起こらないかも知れない、何も起こりはしないかも知れないのです。「おれは今こうして夢みる軍隊に動員されているのだ。おれはここで夢みている。われわれみんなそうだ。だが、いったいなにを?」周囲のあらゆるものが、人間たちによって織り成されていた世界が一目一目解けほぐれていくようです。「残るのはただ待つことだけ、そうしていわば星々の夜が、人里遠い森が、地平のかなたに膨らみ盛りあがる巨大な夜の波濤が、荒々しくわれわれの衣服を剥ぎ取ってくれるだろう。砂丘のかなたの潮なりの音が突然裸形になりたい願望を与えるように。」
   
   グランジュは、毎朝の連帯本部との連絡を確認すると、後はなにもすることがないので、近くのファリーズ部落に一軒だけ店を開けている〈プラタナス〉という名のカフェでコーヒーを飲みます。こんな山奥の部落にカフェがあることが驚きですが、おそらくたまに通る旅人に食事と宿を提供しているのでしょう。トラネ夫人と呼ばれている女性が店を切り盛りしているのですが、この御時世、客といえばグランジュしかいません。彼はいつも外に一つだけあるテーブルについてぼんやりタバコを喫っているのですが、夕方近くなると、仕事を終えた村人が挨拶をしながらグランジュの前を通ります。
   
   たまの日曜に、グランジュは、モリヤルメの連隊本部へ降りて、中隊の指揮官であるヴァラン大尉が催す昼食会に顔をだします。懇親と士気を高めるために行われるこの会合で、グランジュはヴァラン大尉や他の少尉から最新の情報を聞き出し ます。もうすぐ冬だが、ドイツ軍は春まで攻めてこないだろう、という話が交わされます。グランジュには、永遠に攻めてこないのでないか、戦争は実はどこか遠くで行われているのではないかという疑いを晴らすことができません。謹厳なヴァラン大尉は、グランジュに「それでは、きみは何のために戦争に出向いてきたのか。絵葉書でも待っているのか?」と問い質されます。実は、グランジュには、兵隊や軍用車両に溢れたモリヤルメの雰囲気が耐えられないのです。ファリーズ高地から自転車でモリヤルメヘ降りてくる途中、次第に俗界の埃にまみれていく自分を感じます。そして、会合を終えて、再び自転車でファリーズへの道を上り始めると、まるで呼吸が楽になったような感じさえするのです。「曲がり角に立つたびに、谷間の底でモリヤルメの町が小さくなっていく。ひたひたと身をとり包んでくる湿りを帯びた静寂のなかに足を運んだ。身も心も軽々として若さを取り戻している。眼の届くかぎり周囲をとりかこむこの森の、奥へ奥へと入り込んでいく、ただそれだけで幸福感がよみがえり胸いっぱいにひろがってゆくのだ。・・・そこに見えてくるのは自分の生の似姿にほかならない。すなわち自分の所有しているものはすべて身に運んでいるものだけだ。世界は二十歩離れたあたりで暗くなり展望は閉ざされている。周囲にあるのはもはや生温かい意識の暈(かさ)、そして茫とした大地の上、はるか高みに揺られている鳥の巣だけである。」
   
   そんな風にモリヤルメから一人で帰る日曜日の午後、その日は土砂降りの雨で、グランジュは軍用合羽を着込んで森の道を歩いていました。すると、ずっと前方に、フード付きのマントにすっぽり包まれてブーツをはいている学校帰りの女の子らしき人影を見つけました。しかし、この先ファリーズ部落まで家はなく、しかも今日は日曜日です。グランジュは好奇心を唆られてその小さな人影を観察し出しました。篠つくほどの雨もいっこう気にする気配もなく、少女は道草をくうお転婆娘といった風で、両足をそろえてぴょんと水溜りを跳び越えたとおもうと道端の木の枝を折ったり、今度は水溜りの水を蹴散らしたりしています。そして、時々、距離を測るように、フードの陰からちらとグランジュの方に眼をなげかけるのです。「小さな妖精、森の魔女の娘だ」降りつのる激しい雨にもかかわらず、グランジュは歩みを遅めました。あまり早く彼女に追いつきたくなかったのです。脅えさせて消えてしまうのではないかと思ったのです。しかし、間隔がややせばまってみると、彼女は全くの小娘というわけでもないようで、若い森の動物のような優美な行動の奥には成熟した女らしさも覗いています。明らかに、グランジュを意識し、彼を誘うかのような歩きぶりです。「でも、ほんの小娘じゃないか」困惑気味にそう思うと、突然娘は立ち止まり、道の真ん中の水溜りでゴムのブーツを洗い出しました。近づくと、フードの下から青い二つの眼とやわらかなブロンドの髪が見えます。「水びたしってとこね。あなたの森。やれやれだわ」   
   
   その娘の名はモーナといい、何と、療養のためファリーズ部落に小間使いの黒人少女と住んでいる未亡人でした。夫の若い医師は、高校卒業を待たずにモーナを嫁に迎えますが、わずか二カ月後に病気で死んでしまいます。夫は死ぬ前に、モーナの胸の写真のわずかな影に注意して、高地で療養するよう勧めていました。彼女は病気のためというより、夫の遺志を果たすためにここファリーズに来ていたのです。そして、グランジュが森のトーチカ守備隊の将校であり、毎日〈プラタナス〉でコーヒーを飲んでいることも知っていたのでした。
 
  「あなたの森」という言い方が象徴的です。アルデンヌの奥深い森も、この少女も、グランジュの主観的真実によって組み立てられた精巧な世界にほかなりません。この物語全編を通して、グランジュの出自や職業は全く明かされず、この世に彼の身を案じてくれる人は一人もいないかのようです。つまり、この小説は一人の男の成長物語などではなく、人が体験するイニシエーションの記述なのです。人生は積み重ねや経験によって進んでいくのではなく、啓示や期待や驚異によってのみ開かれます。この小説は、ノヴァーリスの『青い花』のように、葛藤や苦悩を欠いています。物語は、ただ一点に、ドイツ軍の電撃的侵攻に向かって急速度で収斂して行くのですが、それこそグランジュが、恐れ、期待していた死という秘儀に至る道なのです。

   モーナの存在は次第にグランジュの中で大きなものになってきました。朝の散歩や夜の哨戒の後など、モーナの家によってしばらく時をすごします。モーナの肩に頭をのせていると、グランジュはもろもろの優しい事物に満ち溢れた世界が自分のもとへやって来るように感じられました。しかし、モーナに出会ったのは森の中でした。彼女はきっとおとぎの国の種族で、海が石の水槽にのせて運んできた妖精のように、自分の手に与えられているのはほんの束の間で、運んできたその波が再び彼女を遠く運び去ってしまうのではないか、そんな思いがグランジュには湧いてきます。

   ところで、それまで止まっていたのに地震の震動によって動き始めた時計というものがあります。いつかまた故障して止まってしまうそんな安物の時計に似た恋愛が、このファリーズ高地のトーチカにもやってきました。グランジュがモーナにあったと同じ頃に、上等兵のオリヴォンは、カフェ・プラタナスの未亡人の女将であるトラネ夫人と親しくなっていました。グランジュが午後のコーヒーを飲みにプラタナスへ出向くと、恐らく死んだ主人の前掛けをしたオリヴォンが葡萄酒の瓶詰めをしている姿をたびたび見かけたのでした。オリヴォンは、字の読めない夫人の代わりに新聞の公報(酒類販売に関する)を読んでやったりしているのでした。兵卒のエルヴーエは、近くのマジュール部落のアルプス猟歩兵の後釜になって、ある農婦の家庭に入りこみました。子供の多い貧しい家庭で、したがって、雪かきをし、一日分の薪を割り、農家の仕事の手伝いをするエルヴーエをマジュール部落で悪くいう人は一人もいず、むしろ天から降って湧いた義人のように思われていたのでした。気がかりなのはグルキュフで、彼は一日中アルコールの匂いを発散させながら、ブルターニュ方言でぶつぶつ言っているのでした。グランジュにとって意外だったのは、これらのことが少しも放縦な感じがせず、砦の秩序はかえってきちんと保たれていることでした。兵隊たちは日暮れになると、トーチカのある宿舎に帰り、楽しくさわやかな気分になって「男たちの家」で夜を過ごすのです。

    ファリーズに冬が訪れました。グランジュは誰よりもこの季節の到来を心待ちにしていました。雪に閉ざされる世界、モリヤルメからの補給のトラックはもう来なくなり、下界から完全に孤立される世界を。グランジュは、このファリーズ高地での冬ほど、自分の生が拘束を免れ、自由で気楽なのを感じたことはありませんでした。それは、災害や疫病によって中学生に突然与えられた休暇、世界は破滅の予感に満ちているのに、いや破滅に瀕しているからこそ、生のしがらみから解き放たれた休暇に思えました。いずれは戦争になる、それは避けようもないことです。敵の戦車隊がアルデンヌの森に進撃してきたら、このトーチカなぞ物の数でもなく粉砕されてしまうでしょう。恐らくトーチカの四人は逃げられない、ムーズ川まで12キロもあって、しかもフランス軍撤退の時には橋は破壊されてしまうはずです。この喜びは生の終極の感覚、虚空の中をかぎりなく落ちて行くあの感覚だろう、とグランジュは思いました。
 
    晩の巡回に行く時、グランジュはよくエルヴーエを連れに選びました。エルヴーエは無口で、猟師らしく獣の匂いや巣穴の位置に詳しく、二人で歩いていると、森の息遣いが手に取るようにわかる気がするのです。密猟者の住む小屋や、有刺鉄線の張られた国境線を巡回すると、二人はポットからコーヒーを注いでタバコに火をつけます。はるか下の方にベルギー領の灯りが見えました。タバコの赤い火がひとつ燃えるごとに、グランジュは、この世に自分を結びつけている繋策が次々とほどかれて行くような気がしました。
   
   冬の終わり頃、ヴァラン大尉がトーチカの視察に訪れました。トーチカ内部の弾薬や食糧の備蓄、対戦車砲の照準などを確認した後、二回の宿舎に上がると、オリヴォンが熱いコーヒーを出しました。ここに来た誰もがそうするように、大尉は茶碗を置くと窓越しに視線を投げました。瞬く間に森の静寂がとどめようもなく流れ込んで室を満たします。「ところで、グランジュ、司令部付き中隊に配置換えになるのはどうかね」と大尉がグランジュに尋ねました。司令部付き中隊となれば、最も安全な部署です。グランジュは顔が赤らむのを覚えました。「それは、ちょっと、、、」と考えて「わたしにはその意志はありません」と答えました。「絶対に?」「はあ、絶対に」大尉は眉をしかめて咳払いしました。ドイツ軍がツバメの飛ぶ季節にはやってくるだろうという情報を告げて後に、「ここに残ろうなんて、どういう気持ちなんだね」と大尉は質しました。そしてグランジュの言葉を抑えるように手を振りました。「危険志願の勇士というのはおれの性に合わなくてな。実際はそれがどんなものか知ってもいるし」「いや、そういうことではありません。ここが好きなんです」とグランジュは答えました。すると、ヴァランは道の遠くをじっと見て、「そうか、おかしな男だなきみも」と言って、急にまじめな顔になり、「おれは自分なりの《脱走》の仕方を選んだ連中と一緒に戦争をするのはいやじゃないよ」と言いました。
   
   その夜、グランジュは眠れないまま、ヴァランにもらったドイツ軍の戦車図録を取り上げて長い間そのページをめくっていました。灰色をした重たげな戦車の図には、ドイツ兵器特有の誇張された陰惨な感じがよく出ていました。その時、ふと、グランジュは、彼がここに残りたかった理由にはモーナのことは関係ないことに気づいたのです。「ここで暮らすということのためか」彼は声に出して言ってみました。ファリーズでの生活にはある快い興奮が伴うのです。かつて覚えのないほどさわやかに呼吸している高揚感。これにもっとも近いものとして思い出されるのは子供の頃の夏休み、海辺に吹きしく風の中に降り立ったときのことです。汽車の窓から波のきらめきが見えたときの戦(おのの)き、海浜ホテルの窓からの素晴らしい眺め、、、。
   
   そして、ついに戦争が訪れます。1940年の2月近くに、雪解けを待たずに、ドイツ軍の偵察機がファリーズの空を何度も旋回して行きました。4月、春が慌ただしくファリーズにも訪れ、家々のバルコニーはいたるところで花に飾られるとき、ドイツ軍のノルウエー侵攻の知らせがもたらされました。五月の第一週の終わり近く、エルヴーエと森の奥の有刺鉄線の巡回をしていると、いつも立ち寄る密猟者の小屋はすべてからっぽです。獣が危険を察して巣穴を放棄するように、彼らは素早くムーズ川を渡って退避したに違いありません。巡回の後、グランジュはモーナの家を訪ねました。いつものように鍵のかかっていない扉からモーナの部屋へ入ると、モーナは素足のままベッドで腹這いになって本を読んでいました。「どうしたの?」「戦争だよ」グランジュは鉄兜を衣装戸棚に掛けて言いました。「頭がおかしくなったの?」「ちがうんだ、モーナ」とグランジュはモーナの肩をつかんで揺すりました。「ほんとうに戦争なんだ。きみはここから逃げなければいけないんだ。明日にでもすぐに・・・」モーナは状況を察すると長い間泣いて、それから小さくて重い頭をグランジュの肩にこすりつけました。すすり泣きの声がやむと、開け放した戸口から入ってくる森のざわめきに二人して一緒に耳を済ませました。別離は虚無の味わいを持っています。グランジュは彼女がわずかではあれ、今もなお自分の生の重荷になっていること、そしていまや一刻も早く孤独になりたいことに気づいて驚きました。
   
   この小説は、いわゆる「奇妙な戦争」といわれる1939ー40の仏独の対峙の時期を扱っています。ドイツは1939年9月のポーランド侵攻から翌年の5月10日のベルギー侵攻までなりを潜めていました。戦争は始まったのに戦闘はなかなか始まらないという状況の中で、フランス人の厭戦気分も重なって一種の閉塞感が国を覆っていました。戦闘を恐れながらそれをまた待ちわびる気持ち、未来はわからないが、しかしあまりよくなる筈はないという予感、ジュール・ヴェルヌの小説のどんどん小さくなって行く流氷の島の住民のような心細さがこの小説の背景をなしています。
   
   5月10日から11日にかけて、グランジュ見習少尉は寝苦しい夜をすごしました。たくさんの夢をみたようで、頭が重く感じられました。爆撃の音、地を轟かすうなり、砲声の響き。「とうとう来ました、少尉殿」オリヴォンがかすれた声でグランジュを起こしに来ました。エルヴーエとグルキュフはすでに窓際に寄り、白みはじめた東の空に上る硝煙を見ています。彼らの髪は乱れ、あわてたのか素足のままベルトもきちんと締めていません。オリヴォンがコーヒーを入れ、グルキュフは水筒に酒を満たしました。間を置かずにヴァラン大尉から電話があり、ドイツ軍がオランダ・ベルギー・ルクセンブルクに侵攻したのでただちに臨戦態勢に入れと告げられました。8時近く、林道が騒がしくなり、フランス軍のオートバイやサイドカーが全速力でベルギー領に向けて通り過ぎました。続いて自動車隊と工兵の分遣隊が現れ、後を追うようにエンジン音を轟かせて戦車隊が登場します。隊列は二時間も続き、その後、林道は白煙につつまれたまま取り残されました。遠くで機銃の音が鳴り止みません。
   
   正午近く、歩兵の一個中隊がベルギー方面へ登って行きました。彼らは機銃掃射を避けるために一列になって道の端を木陰に寄り添うように早足で歩いて行きます。最後尾の汗まみれになった小隊の兵隊たちに、グランジュは水を出してやりました。彼らは、朝の宿営地で機銃掃射を受けたそうで、水を飲みながらも鉄兜の庇に手をやって樹々の間の空を見ています。午後になると、別の一団が逆方向から姿を現しました。ファリーズに残っていた最後の住民たちが緊急立ち退きを命じられ、ムーズ川沿いの各駅へ発っていくのです。一行は暗い顔つきで整然と軍隊のように歩いていました。カフェ・プラタナスの女将トラネ夫人は赤いハンカチで髪を留め、荷馬車にのせられていましたが、汗と車の動揺のためすでに容色は見る影もありません。オリヴォンがトラネ夫人を抱きしめましたが、場所柄も人の目も邪魔になり、垢抜けない接吻をしただけでした。「心労と塵埃が薄膜のようにこのささやかな一行を包んでいる。にわかに人々の顔を老けこませているのは単に不安だけではない。強力な一つの手が運命の札をかき混ぜているのだ。一行はいま目の前を通り過ぎながら、早くも色あせ傷んだ追憶の色合いを帯びている」
   
   戦車隊の堂々たる行進に興奮していた砦の四人も、ファリーズの人々が一斉に立ち去った今ではむっつりと陰気になりました。午後になると、立て続けの爆発音が鉄の床を叩くように宿舎の床を揺らします。爆弾の衝撃の中で四人は食事をし、オリヴォンは各自の水筒に水を入れていきます。グランジュとエルヴーエは、本部からの指令で有刺鉄線の補強をするためファリーズ部落まで鉄線を取りに行きました。ファリーズには全く人影はありません。どの家も慌てて出ていったように雑然と散らかされています。一つの家の壁には取り去った後の十字架の後があります。グランジュはモーナの家に入り、空っぽの部屋に置かれたベッドに腰を下ろしました。その重みでベッドは耳慣れたバネの軋み音を立てながらやわらかく沈みました。「まるまる一つの季節だった」しばらく物思いにふけった後で、グランジュは井戸端で有刺鉄線を見つけたエルヴーエと落ち合いました。二人はトラネ夫人のカフェからコニャックの瓶を持ち出して、夕暮れの村の真ん中のベンチで飲みはじめました。部落を出るとき、栗の木の下でもう一本のコニャックを飲みました。この戦争の下、不安な、そしていささか陶酔を誘う得体のしれぬ興奮が身内を満たします。二人は、時々沈黙の間を置きながら、低い声で静かに語り合いました。森の匂い、広大な森の茂みのビロードのような影、この死に絶えた村の幻めいた気品、そうしたものがグランジュには奇妙に豪奢な感じで受け取れるのでした。
   
   翌5月12日、午前中近くで激しい爆撃の音、本部からの連絡によると、アルデンヌ守備隊の各トーチカが爆撃されているとのこと。ドイツ軍の攻撃機は、爆破する瞬間、恐怖心をあおるかのようにサイレンを鳴らしながら目標に直進して来たとのことで、その陰惨な禁じられた攻撃法はファリーズの四人に強いショックを与えました。「なんて性質(たち)の悪い連中なんだ」とグルキュフが思わず叫びました。午後に爆撃が終って、再びアルデンヌの森は静けさを取り戻しました。夕方、モリヤルメから登って来た小型トラックから情報がもたらされました。工兵隊が、ムーズ川でボートや平底船を集めて、橋を破壊する準備をしているとのこと。脱出の準備です。さらに、ベルギー領に進撃している戦車隊に多数の負傷兵が出ているという知らせもグランジュたちを重い気分にさせました。
 
   5月13日、朝の食事の前に地雷敷設地のようすを見て来ようとグランジュは外に出ました。 突然、空を切り裂くような異様な音がして攻撃機が頭上をかすめました。グランジュは近くの森まで全速力で走り、雑木のなかに身を潜めます。辺りに爆裂音と白煙が広がります。音が鎮まるまで待つと、急にオリヴォンの淹れる熱いコーヒーの香りが懐かしくなりました。生の香り、生命の息遣いのような熱い香りです。攻撃機のうなりが聞こえなくなって、ほっとしてグランジュは林道に出て、トーチカに向かって歩き出しました。その時、林道を舗装してある古いアスファルトが、眼の前10メートルほどのところで突然奇妙な音を立て始めました。自分が機銃掃射を受けているとわかるまで一、二秒かかりました。間一髪、転げるように森の中へ戻ったグランジュの目に、白い空を横切っていく黒いマントのような戦闘機が見えました。
   
   帰ってみると、トーチカに被害はありませんでした。三人の兵士は、茫然としてグランジュの帰りを待っており、そこで四人揃って簡単な朝食をすませました。朝食後、グランジュはついに宿舎を放棄して下のトーチカ内に立てこもる決断をし、毛布や食糧をトーチカに運びました。トーチカの狭い空間には寝具、缶詰、弾薬が所狭しと積まれています。昼近くに、うなりのような音がしてサイドカーがベルギー領からフランスに向けて全速力で通り過ぎました。続いて、兵士や食糧を積んだトラック、装甲車、戦車が土埃をあげて次々に林道を転げるように降りて行きます。どの車両にもはっきりした弾痕が残っており、まるでジャングルの火事に追われて逃げていく水牛の群れのようです。「じゃあ、戦車隊さんは退却かよう」とエルヴーエが声を上げると、装甲車から顔を出していた兵士がメガホンのように両手を口に当てると「おまえたち、なに虚勢張ってるんだ、あと10分たらずでドイツ野郎がやってくるぞ」と叫びました。
   
   退却する兵士の最後の一人が通り過ぎてから数時間後、ムーズ川方面でカチッと信管の音がして次々と橋を爆破する音が聞こえました。「撤収すべきか、、、。しかし、おれは命令を受けていない」モリヤルメへの通信は途絶えています。だが、グランジュはここを立ち去りたくありませんでした。陽光燦燦(さんさん)と降り注ぐこの静寂は捨てがたい。汗まみれの疲れきった兵隊でごったがえすモリヤルメの情景を思い浮かべただけで胸が悪くなりました。「命令はない。したがって撤収もない」そう決断するとグランジュは気が軽くなりました。五月の穏やかな風に、兵隊たちはトーチカの外に出て、温まったコンクリートに身を寄せてタバコを吸っています。前と後ろから砲声が聞こえます。一度聞き取ってしまうと、もはや砲声の響きしか耳には残りません。しかし、前日のような地を響かせるうなりの恐怖でなく、なぜか、夕暮れの森に迷った子供の恐怖、魅惑をふくむと言ってもいい不思議な恐怖感でした。「かまやしない」かつて知らぬ混沌とした歓喜の情を覚えながらグランジュはそう思いました。「橋は切断されてしまった。ムーズ川の東側には、おそらくフランス人はもう一人もいないだろう。ここにいるのはおれたちだけ。おれはしたいことをするのだ」
   
   グランジュはタバコに火をつけると、「そのままそこにいろよ、いま見てくるから」と、トーチカの兵士に叫んで、ポケットに手を突っ込んで道の中央を歩き出しました。いつしか砲撃は止んで、夕べの空気が気持ちよく冷えてきます。グランジュはときどき立ちどまっては耳をすませました。何分ものあいだずっとなんにも聞こえてきません。「もしかしたらおれは《向こう側》の世界にいるのかもしれない」純一な喜びに身を震わせながらグランジュはそう思いました。細く口笛を鳴らしながら鉄兜を脱いで、腰の横に揺らして歩きます。「ドイツ兵なんかいやしねえ」急に声を出して人差し指を突き出します。全能の自分、立法者であり、審判者であり、ありとあらゆるものから自由な身である自分を感じます。よろめくように歩いていくと、世界は浅い川瀬のように静かに開かれていきます。「おれはもうどこの所属でもない」そう思い、二、三度瞼をしばたたき、ポケットの中のモーナの家の鍵をにぎり、また腰のケースに入れてある拳銃の銃床に触れてみました。突然、腹のあたりに不快な刺激が感じられます。死に対する恐怖であることが自分でもわかりました。自分の運命の終幕が霧の幕の向こうに急速に近づいていること、森の静寂が刻々と危険をはらみつつあることもわかります。しかし、彼の内部の一部は破局の水面に軽々と漂うようにも感じられます。まるで箱舟が水に浮きはじめた時それに乗っていた人たちが感じたようなそんな感覚を。
   
   5月14日、トーチカ最後の一日。朝からムーズ川の方向で激しい爆撃が続いています。ここからムーズ川まで12キロあまり、もう逃げるには遠すぎます。グランジュはトーチカから森に通ずる退避濠の重い蓋を開けて、脱出の際の確認をしました。「もう五時近いだろう」湿気の強いトーチカから外に出てみると、昼の明るみは薄れ、いましも暮れ果てるのをためらっているようにも見えます。慎重に歩きながら耳を澄ますと、遠い地鳴りのような音が聞こえてきます。甲高い金属音、大きな鉄板を引きずるような音、キャタピラの音です。「来たな」身を潜めたグランジュの顔から血の気が引き、眩暈もしてきました。急いでトーチカに戻り戦闘準備を指示します。「気をつけろ」戦車砲の照準鏡を覗くエルヴーエにグランジュは言うと、ポケットから戦車図録を引っ張り出しました。30分ほど時間が過ぎた後、急に軽快な唸りが聞こえて車両の輪郭が姿を現しました。姿を見せたのは戦車ではなく、緑色の小型トラックです。闘牛のようにまっすぐに突撃態勢でトーチカに向かって走ってきました。グランジュの口から10センチの近さで、エルヴーエが照準鏡に眼を当てたままゆっくりネジを回しています。「撃て」グランジュは言うと弾は発射され、トーチカに激しい反動が伝わりました。トラックは砲弾をまともに受けてがくんと揺れ、斜行して藪に突っ込みました。テープのような書類の束が荷台から空に向かって撒き散らされました。「これでもくらえ」今度はグルキュフが機銃の弾をけたたましい音を響かせて車の残骸に浴びせかけました。この殺戮行為はグランジュの掌をじっとりと汗ばせました。「行って見て来い」グランジュがオリヴォンに指示すると、オリヴォンは地下壕から出、下草の上を通ってゆっくりと破壊されたトラックに近づきました。「二人死んでいました。若い兵士です」オリヴォンがまもなく戻って来て、肩章二つ、拳銃二丁、板状の粗悪なライ麦パンを弾薬箱の上に投げ出しました。「積荷は軍務登録簿らしいです。一個師団分くらいはあるでしょう」その言葉にトーチカは一瞬沈黙に包まれました。機密を犯したとしたらその罰は計り知れません。
   
   その時、キャタピラの音と大きなエンジン音がしたと思うと、突然重い霰(あられ)のようなものが激しくばしっとトーチカのコンクリートに打ち当たりました。「ちくしょう、、」とオリヴォンが抑揚のない声で言いました。「曳光弾です」逆光の視界にさらされて四人ともよろめいています。「掃射してやれ」グランジュが上ずったままグルキュフにどなりました。「見えんのです・・・」グルキュフは機関銃のかたわらで首を振りました。瞬間、すぐ近くに不気味な衝撃があって、トーチカを破砕して激しく爆発しました。グランジュの眼にはエルヴーエがゆっくりと奥の壁面に倒れる姿が映りました。コンクリートの粉塵の中で、グランジュはふわふわと床にへたりこみました。脹脛(ふくらはぎ)と腿の付け根のあたりに激しい一撃を受けたのです。
   
  「どうやら逃げ出す時が・・・」グランジュは地下壕の蓋を開け、グルキュフをその中に押し込みました。そして、体半分ほど階段を降りた時、トーチカ内部に最後の一瞥を投げました。オリヴォンとエルヴーエの死体には外套をかぶせてあります。上げ蓋をぱたんと降ろすと同時に互いに呼び合うドイツ兵の声が聞こえました。地下壕を通り、森の中に脱出したグランジュとグルキュフは磁石をたよりにムーズ川へ急ぎました。しかし、ひとしきり歩くと、グランジュの腰に鋭い痛みが襲います。出血による貧血のためふらふらして木の下に身を寄せました。ベルトを外すと腰は血のりで真っ赤です。グルキュフの水筒から葡萄酒を飲んで、「どうもいかん、おれを残して先に行ってくれ」とグランジュは言いました。「ここに残りたいです」グルキュフはそう言って子供のように泣きそうな顔になりました。「バカを言うな、行くんだよ。これは命令だ」グルキュフはのろのろと立ち上がって「それでは、少尉殿もそうしろということでありますから」そう言って水筒とパンと毛布をグランジュの横に置きました。二人は互いの武運を祈って挨拶をしたあとグルキュフは「あっちについて誰かいましたら、必ずお迎えにまいります」と礼儀正しくつけ加えました。
 
    ついにグランジュは一人っきりになりました。エルヴーエとオリヴォンは勲章をもらうだろう。誰も彼らがトーチカを防衛しなかったということはできないはずだ、決して誰も。ぼんやりとそんな考えがグランジュに浮かびました。「恐怖もあったし、怖いもの見たさもあった。何かが起こるのを待っていた。なにごとかのために場所を作ってやっていたのだ・・・」熱が出てくるのが感じられました。もう時間は残されていない。意識が遠のいていきます。「でももう底まで着いた。期待するものはなにもない、おれはもうたどりついたのだから」
   
   この物語は戦争を描いているが、描かれているのは己の内面への旅路です。主人公は、偶然的な出会いによって成長したりすることなく、その目的は人生という秘儀を理解することにあります。彼はそのために死という代価さえ払うのであり、それによって贖われるものは精神のめくるめく解放です。彼は冒頭からすでに死者の翳りを帯び、ある意味ですでに死んでいるとも言えます。モーナやヴァランは、生の幻影、彼を生者の世界につなぎとめていく幻想です。アルデンヌの森が幽冥境にあることは言うまでもないことです。

   
   

| | コメント (2)

« 2011年6月 | トップページ | 2011年12月 »